今回は、マドルチェのモデルとなった人物の徹底考察②ということで、「マジョレーヌ」「シューバリエ」「メェプル」の三体について解説していこうと思います。
前回の記事で「プディンセス」「ティアラミス」「プティンセスール」「グラスフレ」のモデルとなった人物の解説をしておりますので、そちらも合わせてご覧下さい。 harusdia.hatenablog.com
- 前回のおさらい
- 「マドルチェ・マジョレーヌ」は、マリー・アントワネットと縁があるマドレーヌから誕生した
- マドルチェ・マジョレーヌは、ジャンヌ・ダルク?
- ナポレオン・ボナパルトを描いた「マドルチェ・シューバリエ」の違和感
- お菓子もフランスも関係のない「マドルチェ・メェプル」がなぜ初期から存在するのか
- フランスの歴史から考察するマドルチェまとめ
前回のおさらい
今回のマドルチェ考察において、前提として覚えておいていただきたいのがこちらです。
「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」でお馴染みのフランスの王女マリー・アントワネットが、お菓子の城の王女様です。
そして、その娘テレーズがお菓子の城のお姫様となります。フランス革命期の2人を中心にマドルチェの考察をしていきます。
「マドルチェ・マジョレーヌ」は、マリー・アントワネットと縁があるマドレーヌから誕生した
マドレーヌ墓地に葬られたマリー・アントワネットや、テレーズと親しくしてくれたマドレーヌ・エリザベート・ルネ・イレール・ポッケ・ド・シャトレンヌ夫人の存在など、マドルチェのモデルとなった二人には「マドレーヌ」と深い縁があります。
そのマドレーヌから転じて、「マドルチェ・マジョレーヌ」が誕生したのだと思われます。
ちなみに、マドレーヌ墓地も、ド・シャトレンヌ夫人のマドレーヌという名前も、どちらも「マグダラのマリア(フランス語でマリー・マドレーヌ)」という聖女に因んでつけられた名前です。
「マリー・マドレーヌ」に因んだ「マドレーヌ」という名前は、地名や女性の名前として広く使われているのです。
焼菓子のマドレーヌも、この菓子を最初に作った、聖女に因んで命名された女性の名前に由来するものです。
マドルチェ・マジョレーヌは、ジャンヌ・ダルク?
聖女マリー・マドレーヌに因んで生まれたマジョレーヌですが、いったいなぜ魔女と名付けられたのでしょう?
純粋に響きが近い言葉を探した結果、魔女になったというのも考えられます。
しかし、フランスが舞台になっていて、聖女・魔女となると「ジャンヌ・ダルク」を思わずにはいられません。
マドルチェ・マジョレーヌからは、旗くらいしかジャンヌダルクとの類似点は見られません。
しかし、彼女がジャンヌダルクであると仮定すると、「なんでいるんだろう?」という疑問が解消されるキャラクターがいます。
この「マドルチェ・シューバリエ」と「マドルチェ・メェプル」の2体は、マジョレーヌがジャンヌダルクとの掛け合わせがあると仮定すると、すんなりと受け入れられるのです。
ナポレオン・ボナパルトを描いた「マドルチェ・シューバリエ」の違和感
マドルチェ・シューバリエのカードイラストは、超有名な肖像画「サン=ベルナール峠を越えるボナパルト」とあまりにも酷似しています。
帽子や口元にかかる大きな襟、前足を大きく上げた馬に跨り振り返る構図。シンプルにはなっている物の上着のデザインもかなり寄せていますね。
よく見てみれば、ナポレオンの足元の大地は、シューバリエの足元のパズルとそっくりです。
マドルチェ・シューバリエのモデルは、ナポレオン・ボナパルトで間違いないでしょう。
しかし、マリー・アントワネットとマリー・テレーズを描いたマドルチェ世界に、ナポレオンがいるのはとても違和感があるのです。
特に、マドルチェ・ワルツで仲良く踊っている図なんて、本当に不思議でなりません。
なぜなら、テレーズ(プディンセスのモデル)が、最も憎んでいる男こそが、ナポレオン・ボナパルトなのです。
そんな憎んで憎んで仕方がない彼と笑顔で踊るのです。さすがに理解できません。
しかし、マドルチェ・マジョレーヌがジャンヌダルクを模しているのであれば、シューバリエとプディンセスが仲良く踊るのは、別にそこまで意図がないと考えることが出来るので、違和感のない事です。
マドルチェは、アントワネット親子の平和だった時代や、彼女たちの理想郷を描いているというわけではなく、あくまでもフランスの三大偉人やその周辺人物・舞台がモデルとなっているだけの世界と考えられるのです。
ナポレオンとアントワネットだけだと、あまりにも関係性がありすぎるので、何か意図があるものだと思ってしまいますが、時代が異なるジャンヌ・ダルクが存在することによって、意図がない物もあることがわかります。
「マドルチェ・ワルツ」については、マリー・テレーズが幼い頃から舞踏会に顔を出していたことから、マドルチェ・プディンセスを踊らせた。踊る相手として外見がちょうどよかったのが、マドルチェ・シューバリエだっただけのことでしょう。
お菓子もフランスも関係のない「マドルチェ・メェプル」がなぜ初期から存在するのか
前回の記事で紹介した通り、ティアラミスのモデルであるマリー・アントワネットは、「プチ・トリアノン(王妃の村里)」という自然を味わう自分だけの場所を作り、そこで動物たちと戯れて心を癒していました。
そのプチ・トリアノンには、多くの羊が飼われていました。
しかし、その羊からマドルチェ・メェプルが誕生したと考えるのは早計で、プチ・トリアノンには羊以外にも、牛、山羊、鶏、豚といった動物が飼われていました。
飼われていたとされる5種類の中で、マドルチェに存在するのは羊だけです。
もしプチ・トリアノンの動物というだけで取り上げるのであれば、他の動物も実装していたでしょう。
マドルチェ・メェプルには、プチ・トリアノン以外の意味があると考えるのが自然ですが、マリー・アントワネットに関する文献で羊に関するものは、プチ・トリアノン以外にありません。
しかし、マドルチェ・マジョレーヌがジャンヌダルクを模しているのであれば、牛、羊、山羊、鶏、豚の中で羊だけがマドルチェに実装されたのも納得が出来ます。
聖女や魔女といったイメージの強いジャンヌダルクですが、それ以外にも預言者、戦士、羊飼いとも称されていました。
実際にはジャンヌダルクは羊飼いではなかったのですが、国王を彼女を羊飼いと呼んでいました。羊の群れを守る女羊飼いと、臣民の羊飼いである国王というイメージを重ねて流布させるという政治的な理由のためらしいです。
ジャンヌダルクのイメージ「羊飼い」と、マリー・アントワネットが羊を飼育していたという共通点から「マドルチェ・メェプル」という羊キャラクターが誕生したのだと結び付けられます。
名前の由来についてですが、遊戯王以外でも、羊の「メー」という鳴き声と「メープル」は掛け合わせられることが多く、マドルチェが登場する3年前には「ひつじのメイプル」というぬいぐるみが存在しています。
なので、「羊→メー→メープル」となるのは、かなり自然な流れなのだと思います。
「メェプル」という名前は、既存の商品「ひつじのメイプル」と被らないようにするため、または羊の鳴き声である事をわかりやすくするために「メェ」という表現にしたと推測できます。
ちなみに「ひつじのメイプル」はマドルチェとはだいぶ雰囲気の違った、二足歩行しそうな羊のようです。
フランスの歴史から考察するマドルチェまとめ
今回はまず、「マドルチェ・マジョレーヌ」の由来となった人物などを考察していきました。
「マドルチェ・プディンセス」「クイーンマドルチェ・ティアラミス」のモデルとなった、マリー・アントワネットと、マリー・テレーズは二人とも「マドレーヌ」に縁があるため、焼き菓子「マドレーヌ」をマドルチェに採用することに決定。
マドレーヌとはそもそも、聖女「マリー・マドレーヌ」にちなんで付けられた名前で、フランスの聖女と言えば「ジャンヌ・ダルク」
ジャンヌ・ダルクと言えば、聖女であり「魔女」
マドレーヌと魔女の語感が似ているので、以上のことから「マドルチェ・マジョレーヌ」が誕生したと考えられます。
マドルチェ・マジョレーヌの外見がジャンヌダルクのイメージと離れていることから、マドレーヌと魔女の語感から「マドルチェ・マジョレーヌ」というキャラクターが先に誕生し、魔女という言葉からジャンヌダルクを連想し、彼女の要素を付け加えていったという方が自然かもしれません。
マリー・アントワネット、ジャンヌ・ダルクと続いて、彼女らに並ぶ有名なフランス人と言えば、ナポレオン・ボナパルトとなり、「マドルチェ・シューバリエ」が誕生しました。
シューバリエという名前は、シュバリエ(騎士)から来ているので、騎士ナポレオンを意味しているのでしょう。
初回から登場する羊モンスター「マドルチェ・メェプル」
猫でも犬でもなく「なんで羊?」と思ってしまうと思ってしまいますが、羊が登場したのにもちゃんと理由がありました。
フランス史から読み解いていった結果、ジャンヌダルクの「羊飼い」というイメージや、マリー・アントワネットが羊を飼育していたことから、「マドルチェ・メェプル」が誕生したのだと導き出されました。
次回は、ジャンヌ・ダルクから推測される「マドルチェ・ミィルフィーヤ」と「マドルチェ・ホーットケーキ」から考察していきますので、ぜひ読んでみてください。
前回の記事 harusdia.hatenablog.com