
はじめに|「正しい言葉」に振り回されて、苦しくなっていませんか?
「素直な人は愛されるはずなのに、私は好かれない」
「謝ったのに、相手はまだ許してくれない」
「“自分を大切にする”って言われても、罪悪感が残る」
そんなふうに、正しそうな言葉にモヤモヤした経験はありませんか?
実はそれ、言葉そのものの“構造”が誤っている可能性があります。
この記事では、数学や論理の考え方を応用した【命題思考】を使って、
あなたの心に引っかかる「正しさ」を分解し、自分を守る知的な武器に変える方法を紹介します。
1|命題思考とは?
〜「すべて」「誰でも」に立ち止まる技術〜
命題思考とは、簡単に言えばこうです。
「その言葉、本当に“例外がない”と言い切れる?」
たとえば数学の世界では、
「すべてのxについてPが成り立つ(∀x P(x))」という命題に、
反例(∃x ¬P(x))が1つでも見つかれば、その命題は“偽”とされます。
世の中の“正しそうな言葉”も、同じように考えてみましょう。
それは本当に、反例のないほど普遍的な真理なのでしょうか?
2|よく聞く“言葉の落とし穴”を命題で検証してみる
● 「素直な人は愛される」
→ 素直でも価値観が合わなければ嫌われることもある
→ 反例あり。命題としては偽。
● 「謝れば許される」
→ 謝っても、相手の心が追いついてなければ許されない
→ 反例あり。“許し”は相手の判断。
● 「自分を大切にすればいい」
→ 誰かを傷つけることになる/自分の罪悪感を伴う場合も
→ “善”であるとは限らない。
● 「泣くのは弱さ」
→ 涙は生理反応であり、表現手段でもある
→ 泣く=弱い は誤り。
● 「優しさは強さ」
→ 優しさが裏目に出ることもある
→ 強さとは限らない。状況依存。
3|命題思考が“実際に役立つ”5つのシーン
1|自己否定しそうになったとき
「優しくできなかった私って、悪い人間だ…」
→ 命題:「優しさ=良い人」ではない
→ 自分を必要以上に責めなくていいと気づける
2|他人の言葉に振り回されたとき
「素直に言えば伝わるって言われたけど…」
→ 素直さが誤解を生むこともある
→ 無理に心を開かなくていい判断材料になる
3|“常識”に違和感を覚えたとき
「恋愛はすべき」「親は大事にすべき」
→ 反例のある命題なら、従わなくてもいい
→ “正しさ”より“納得”を選べるようになる
4|感情に飲まれそうなとき
「泣いちゃった…私は弱いんだ」
→ 涙は感情の出口。=弱さではない
→ 感情を否定せず、自分を肯定する補助線になる
5|人に期待されたとき、選べなくなったとき
「私も頑張らなきゃ…みんなそうしてるし」
→ 「努力=幸せ」ではない。反例は多い
→ “今の自分”に必要な選択を、落ち着いて選べる
4|命題思考の使い方はシンプル
- 「〜すべき」「誰でも」「みんな」
という言葉を聞いたら立ち止まる - 「この言葉、反例はあるか?」と問いかけてみる
- 「そうとも限らない」と言い換える
→ それだけで、心が少し軽くなることがある
おわりに|「正しさに、条件文を添えよう」
言葉は、正しそうな顔をして、簡単に人を追い詰める。
でも「正しい」には、本当は“反例のない構造”が必要です。
「とは限らない」という余白を持たせるだけで、
世界はずっと息がしやすくなる。
命題思考は、難しい理論ではなく、
自分の感覚を信じ直すための“静かな思考術”です。