
青い空、青い海、白い家、緑の山。
春の海岸沿いは、今日も静かに、優しく、迎えてくれた。
津久井浜のパン屋「ブロートバウム」で、しっとり甘いコロッケパンに出会う

まず降り立ったのは、京急「津久井浜駅」。
向かったのはお気に入りのパン屋、溶岩窯パン工房「Brot Baum(ブロートバウム)」。
ここでは、溶岩窯で焼かれていながら、外はカリカリではなく、全体がしっとりと柔らかい。
ヴィ・ド・フランスに似た、ふんわり甘い生地が特徴だ。
選んだのは1番人気のコロッケパン。
柔らかなパンに、しっとりとしたコロッケ、じんわり香るガーリックマヨネーズ。
ひとくち目で、甘い、おいしい、やわらかい──そう感じた。
パンを手に、津久井浜の海へ向かう。
潮風に吹かれながら、トンビに狙われるスリルと海遊び

海へ着くと、潮風が頬をなで、波が光を跳ね返していた。
座って海を眺めながら、トンビに上空から狙われるスリルを感じつつ、パンを頬張る。
少し怖かったけれど、それもまた楽しくて、思わず笑ってしまった。
雨用の靴を履いていたので、波打ち際にも挑戦。
靴に波が当たったときはひやっとしたが、意外と平気だった。
靴下まで濡れるのではないかと、ひやひやしながらも、そんな自分が面白かった。
野比海岸の砂浜で、クサフグの群れとネコザメに遭遇

砂浜を歩きながら、ふと目に留まったのは、水面に群れをなして漂うクサフグたち。
あまりの数に驚き、見入っていると、群れの中をネコザメのような丸みを帯びた魚が悠々と泳いでいった。
小さな稚魚たちもきらきらと光りながら泳ぎ、
潮だまりにはふわふわと揺れるアオサのような海藻たちが春の名残を伝えていた。
潮の香りは草木の香りに溶け、ふとした瞬間だけ、確かに海の匂いが立ち上った。
山鳩、鶯、ツバメ──春の命とすれ違う帰り道

駅へ戻ろうと歩き始めた道すがら、
山鳩(キジバト)がくるっくるっと鳴きながら近くを歩き、
どこからか鶯の透き通る声が響いた。
チュピチュピと鳴く小鳥たちが忙しなく飛び交い、
空にはツバメが滑るように舞い、
高い空ではカラスが悠々と羽ばたいていた。
生き物たちの声と姿に囲まれながら、春の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
まとめ:潮風と命に包まれた春の旅

今日は、とても鮮やかで、優しい世界だった。
潮風に吹かれながら、甘いパンにしあわせを感じ、
波に触れ、命の息吹にふれた。
歩いたこの道すがら、出会ったすべてが、
今も心の中でやわらかく息づいている。
この春の日の小さな旅を、そっと心のポケットにしまって、
またいつか思い出そうと思う。